この節では、必要性の観点からみた損切りの局面をモデル化します。損切りが必要な場面とは、チャートの動きから考えて、建値に戻ることが難しいか若しくは相当な時間的損失が出る可能性が高まった局面です。
なお、ファンダメンタル分析に基づく損切りラインの設定については、その時々の状況に応じた判断となり、これは戦術論を前提とする応用的な判断となります。本稿ではまずテクニカル分析、それも一番基本となる時間足に絞って最も基本となる損切のパターンをモデル化します。
まず、最初に決めておくことは、チャートのそれぞれの時間足への意味付けです。全ての時間足が同一のトレンドを示すことは滅多にありません。それぞれの時間足で異なるトレンドとなるのが通常です。にも関わらず、それぞれの時間足に対する視点がフラットでは、判断のしようがありません。私がデイトレードにおいてもっとも頻繁に使用する価値判断のセットは以下となります。
〇月足・週足=章目となる高値・安値、トレンドラインの上限・下限を確認
○1日足 =前日の高値・安値を確認、トレンド判断
○3日足 =直近3日間の高値・安値を確認、トレンド判断
○1時間足 =日足・3日足のトレンドとの合一性を確認
○10分足 =実際の指値を置く大まかな範囲を確定させる
○5分足・1分足=実際に注文を出すタイミングを計る
なお、4時間足と1分足は、特殊な使い方をします。
○4時間足 =ダイバージェンスが発生している場合に強く警戒
○1分足 =突発的な出来事が生じていないかを判断するためのセンサー
簡潔にいうと、デイトレードであってもかなり大きなトレンドライン、すなわち日足・3日足を一義に起き、実際のエントリーは10分足のトレンドラインに基づいて行います。なお、精度を高めるために、間に1時間足との合一性を要求します。
とりわけ、3日足を最重要視します。長期モデルにおいては、トレンド判断にせよ具体的なロスカットラインにせよ、3日足を基準として設定します。ビットコインにおいては取引所のデフォルトのチャートで3日足を表示できることが多いですが、為替や株式などで自分で作成しなければならない場合は、日足のチャートを3日単位でまとめて解釈することでも対応できます。
この際、利益確定は10分足基準で決済します。利小損大の戦略下のもと、一定の含み益が出たら迅速に同値に逆指値を置くか若しくはトレーリングストップをかけ、細かく利益確定をしていきます。10分足単位のレジスタンスやサポートに接触しそうになれば、特別な事情が無い限りは、その時点で利益確定します。
ポイントは、利小損大の戦略のもと、利益確定の基準となる足よりも大幅に大きい時間軸の足を損切りの基準の足とすることです。10分足基準のラインを割ってしまいポジションと逆行した場合でも、3日足基準のラインを割らない限りは決済せず、同値での撤退を図るべくすばやく注文を入れます。
この雛形をさらに短期モデルと長期モデルとに展開させることになるわけですが、一先ず次節では10分足を基準とする意義についてもう少し詳しく敷衍します。