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三角保ち合いにおける基本戦術

三角保ち合いへの戦術を定める意義

安易なポジションをもたないために

シンメトリカルトライアングル、いわゆる三角保合いでアペックス(頂点)付近にまで価格が到着し二辺のいずれかがブレイクされた場合における原則モデルを解説します。これは殆どのマーケットにおいて頻繁に現れる形であり、安易なポジションを持ちやすい場面でもあるため、この状況にどう対処すべきかの行動モデルを構築しておくことは継続的に利益を獲得していく上で非常に重要です。

どの時点でトライアグルの形成を意識すべきか

まず前提として、どの時点でトライアングル形成の可能性を考慮すべきかが問題となります。後からチャートを振り返り「ああこれはトライアングルだったんだなあ」と分析するだけでは、トレードにおいては何の意味もありません。チャートはリアルタイムで描画されていきますから、その途中の過程において、パターンが完成する可能性があることを先んじて捉えなければなりません。

この点については、上辺・下辺をそれぞれ結ぶことができる4点があることが最低条件となります。さらにエリオット波動を応用的に適用し、上辺・下辺いずれかのライン上で折り返し5点目が形成された後は、たとえアペックスまではまだ距離があったとしても、近いうちにブレイクがくるかもしれないと警戒すべきです。また、トライアングルの形成過程では、出来高が漸次的に減少していくことも重要な特徴ですから見逃さないよう注意を払うべきです。

三角保ち合いにおける基本戦術

①トライアングルの形成過程ではポジションを取らず待機

トライアングルは、基本的には現在のトレンドの一時的な迷いを示すものです。仮に上昇トレンドの最中に現れたものならば、参加者の多くが、新規の買いポジションをもつことに躊躇いを感じつつも、さりとて利益確定やショートをとるほどには弱気でない心理の表れです。とすれば、仮にこのトライアングル形成中に新たなファンダメンタル要因が特に生じていないならば、以前のトレンドがそのまま継続する可能性が高いとする感覚はあった方がいいでしょう。ただ、実際に迷いが生じているのは事実ですから、これを根拠としてエントリーすることは投機性が高くなります。また、本来のトレンドとは無関係に、オプション取引の期限が迫ってくるとストライクを挟んだ上下の価格帯で相場が収斂し、結果として三角形が描かれていく場合もあります。そもそも三角保ち合いは多発する現象ですし、オプションのような特殊事情が介在するケースもあることを考えると、新規ポジションを取るほどには明確な根拠を見出せず、それ故に様子見を基本とすべきです。

ただ、三角保ち合いは上辺と下辺とに挟まれて価格が動くという点を捉えれば変形的なレンジ相場ともいえますから、三角形が大きいケースではトレードしやすい場合もあります。ただ、この場合は不完全条件での売買として処理すべきです(参照:7章)

②ブレイク直後に反射的に追随しない

停滞は永遠に続かず、やがて保ち合いが終了する瞬間、すなわち上辺か下辺のいずれかがブレイクされる瞬間が訪れます。この瞬間に安易に追随することは避けるべきと考えます。なぜなら騙しの可能性があるからです。たとえば、ある大きな資金力のある投資機関がロングポジションを持っておりさらに大幅な買い増しを狙っていたとします。この投資機関がアペックス付近において、利益確定や新規のショートを故意に入れてくる場合があります。そうすると他の傍観していた投資家は、三角形がブレイクされ下降トレンドが発生したと考え追随で売りに来る結果、価格が大きく下がります。その下がった瞬間、すかさず先の投資機関が大量の買いをいれ、その結果として価格が急転し勢いよく上昇していくケースがあります。いわば撒き餌のように騙し下げを最初に行うわけです。このように一瞬だけブレイクしその後は逆にトレンドが発生するような騙しの局面で反射的に追随してしまった場合、そのポジションの救出可能性はかなり低いものとなってしまいます。利小損大戦略は、利益を取る期待可能性よりも損失を回避できる期待可能性をより重視します。トレンドの初動を捉えれば大きな値幅での利益獲得に繋がるため魅力的ではありますが、それ以上の危険性があることを考えると、利小損大戦略のもとでは避けるべき行動となります。利小損大は、損失発生の可能性を極力少なくすることに意義があります。よって、絶対額のリスクリワードではなく確率のリスクリワードを優先すべきです。救出可能性が低いポジションを持つことは可及的に避けなければなりません。

この点、騙しと判断した時点で損切をすればよいではないかと考える方もいらっしゃると思います。しかし、この動きはAI主導のもとに行われることが多く、ゆえに極めて短時間のうちに一連の流れが生じます。まさに一瞬といってもいい場合もあります。生身の人間が反射神経に頼ってエントリーするのは分が悪く、またスプレッドが大きく開いてしまった瞬間に運悪くボタンを押すと、とんでもない位置で約定していたりします。このような実行可能性が低い方策は取るべきではありません。また、この動きは「騙された」との強い憤りを想起させやすく、そのために認知の歪みが生じやすくなります。結果として、巨大な含み損へと発展しやすく、またそのポジションは上記に述べたように救出可能性が低いものです。こうした心理面からのリスクを考えても安易に手を出すべきではないと考えます。

③リバウンドを逆張りで狙う

では、どこでポジションを取るべきでしょうか。この点については、利小損大の観点から、最初の反発的調整で逆張りを狙うことを推奨します。特に下辺でブレイクが発生した場合には、短時間ではあるものの強烈なリバウンドが発生する可能性は極めて高い傾向があります。さらにこの逆張りの戦術的長所は、逆指値を置くべき損切りラインが極めて明確である点です。すなわち、その下辺ブレイクの下落によってつけた最安値というピンポイントの価格を設定できます。それ故に損切りの判断も冷静に行えます。利益確定するにせよ損切りになってしまうにせよ、極めて短時間のうちに勝負が決することから、時間的損失もほぼありませんし、場合によっては比較的大きな利益が手に入ります。一度失敗しても、二度三度と繰り返せば、少なくとも同額の利益の取り戻しを狙いやすい戦術です。一回のリバウンドもなく、ただ只管に奈落へと落ちていくような動きは、何か強いファンダメンタル要因が発生していない限りそうそう起こるものではありません。逆にいえば、ファンダメンタルの強烈な裏付けがある場合にはこの戦術の使用には慎重であるべきです。ただ、一般的には、リバウンドは発生の期待可能性が高く、また認知の歪みを生じることなく損切りの判断が下せる利益獲得のチャンスです。

これに対する代表的な反対意見として、「Don't catch a falling knife(落ちてくるナイフは掴むな)」という相場格言があります。これは一般的な意味での長期投資、つまり月足レベルの動きに関しては正鵠を射ていると考えますが、デイトレードで問題になる短い時間足のチャートにおいては当てはまらないと考えます。特に価格下落時のリバウンドの発生可能性は高く、上に述べたように損切りラインの明確性、時間的効率性の高さから積極的に利を伺うべきだと考えます。

腕の見せ所は、どこを反発ラインと予測するかです。できれば指値でピンポイントの底を取りたい場面ですから、三角保ち合いの下辺ブレイクが発生する前の待機している間に、事前に目処をつけて必要なラインを引き、場合によってはこの時点から指値注文を入れておくべきでしょう。上辺ブレイクすれば取り消せばいいだけです。原則となる反発ラインとしては、直近高値やサポート・レジスタンスのロールリバーサルが過去に頻繁に発生している水平線などが考えられます。③については、必ずこのポジションを取らなければいけないわけではなく、これを逃しても④のチャンスが続いますから、あまりアグレッシブな反発ラインを想定せず、スタンダードでやや深めなラインでポジションを取りましょう。

④最初の移動平均線への接触で順張りに転じる

その後は、移動平均線への最初の接触点を予測し、そこを目安として③のリバウンド狙いのポジションを決済すると同時にブレイク方向に追随した方向のポジションに持ち替えます。これは必ず指値で行われるべきです。というのも、この価格と移動平均線との接触を契機とする価格の再下降は、ごく短時間のうちに行われ、接触するや否や価格が押し下げられチャート上には上ヒゲとして描かれるのが通常だからです。したがって、価格と移動平均線とが接触しそうになったら、そのすぐ上に指値注文を適宜細かく訂正しながら置き、繊細に時を伺います。

通常、移動平均線はそれ単体のみを直接の根拠としたポジションをとるには適さないと考えます(参照:トレンド判断-移動平均線によるリアルタイムのトレンド判断)が、リバウンドから本来のトレンドに戻る際には頼るべきものが少ないため、多くのトレーダーが移動平均線を目安にする傾向が発生します。特に5分足13SMAは基準とされやすい移動平均線です。ORTHRUS STRATEGYでは、5分足13MAは使用せず、近い移動平均線としては5分足12EMSを用います(参照:トレンド判断-移動平均線によるリアルタイムのトレンド判断)が、デイトレードレベルで問題になる小さい時間足のトライアングルであればそれほど大きな差がでるわけではないのでそのままで構いません。

EMSはより直近の足に比重が置かれますので、SMSよりも早く価格と移動平均線が接触することになります。5分足12EMSでポジションをとった場合、このことが有利に働くことも不利に働くこともあります。移動平均線への接触はあくまでも目安でありその手前で反落することもありますから12EMSの方がポジションを取り逃す機会は少なくなりますが、ポジションを実際に持った場合に建値が有利なのは13SMSとなります。とはいえ、これはあくまでも理論上の違いであり、実際は適宜のタイミングを伺って指値注文を入れることで解決される問題です。

このポジションを決済するタイミングは、保守的に利益獲得を狙うのであれば、上昇トレンド発生の場合はトライアングルの下辺との並行チャネル、下降トレンド発生の場合はトライアングル上辺との並行チャネルを新たに引いてみて、それとの接触時に入れるのが基本です。攻撃的にいくのならば、アペックスの価格に損切りの逆指値を設定し、利を伸ばすことを狙う方策も取り得るでしょう。ただ迷いがあるなら、基本通りに平行チャネルとの接触で利益確定させるべきです。

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