4 損切り

4.5 損切りの短期典型モデル

次に、ロスカットラインの典型モデルが必要となります。まず、比較的短い時間軸を前提とする短期典型モデルについて詳述します。

<短期典型モデル>

順張りの場合は、当日を含む直前3日足の安値更新をロスカットラインとしつつ10分足を基準にロング、当日を含む直前3日足の高値更新をロスカットラインとしつつ10分足を基準にショート。

逆張りの場合は、当日を含まない直前3日足の高値更新をロスカットラインとするショート、当日を含まない直前3日足の安値更新をロスカットラインとするロング。

これは、ラインの価格が一義に定まる点で、明確性に優れています。また、エントリーのポイントもイメージしやすく迷うことは少ないでしょう。注意点としては、ヘッドアンドショルダーのように僅かに更新した後に下落・反発するパターンがあることです。これは逆張りの場合は好機となりますが、順張りの場合は、ロスカットラインでこの動きが生じると、天井でショート決済・底でロング決済の危険性があります。

対処法としては、エラーを吸収できるよう僅かな余裕を持たせることが最も素朴な方法となります。加えて、この余裕分の間を価格が動いている間に、以下の判断基準を用いて、損切りを実行に移すかそれとも下落・反発を期待してホールドするかの決断を下すことができればより適切に対処できます。すなわち、高値・安値が更新された時の値段の走り方を見て逆指値が多く決済されている様子が観測されなければそこで天井・底の可能性が高くなると判断します。この場合、出来高に乏しく、下落・反発の直前ではだらだらとした生気のないチャートを描いた後に急落・急反発するのが特徴です。それに対し、そのまま高値更新・安値更新の方向へさらに値が進む場合は、その前における山または谷と同様のリズムでチャートが動く傾向が観察されます。

ここで注意が必要ですが、大量の逆指値を狩って値が大きく走った直後に走った方向と逆方向の大量の注文が入り、下落・反転するという動きが極短い時間で生じるパターンもあります。これは週足や月足レベルのサポート・レジスタンスを代表に、チャート的に大きな章目で起こりやすい現象で、大量の出来高を伴います。また、この場合はAIによる瞬間的な売買がほとんどなので、区別することは難しくありません。ただ注意点として、機械的に逆指値をおいておくとこの逆指値を狩る動きの餌食になってしまいます。したがって、注文の方法は指値ではなく、その場で裁量的に入れる方が適切に対処できます。

為替やビットコインの場合、逆指値が大量に置かれているかはオアンダや取引会社が提供するニュースなどである程度事前に把握することが可能です。大きく目立って逆指値注文が置かれている場合は、この瞬間的な動きをする可能性が高まります。株式の場合、5章で述べているようにサポート・レジスタンスの抵抗力が為替や暗号資産に比して高いので、高値・安値の更新によるブレイク信頼の程度は相対的に低くなります。また、株式の順張りで当日中に細かく利益確定していく場合は、10分足基準ではなくVWAP基準でも十全に機能しますので、状況により使い分けると更に精度が高くなります。

この短期モデルに限りませんが、3日足を損切りの軸とする方法は、週を跨ぐとその精度はやや低くなります。特に土日に取引の無い株式と為替に当てはまります。この点からは、水曜以降に本来のポジションサイズを持つようにし、月曜と火曜日ポジションサイズをやや小さくすることで対応します。若しくは、月曜と火曜は前週の週足高値・安値を3日足の代わりに用いる方法もあります。

3日足の高値・安値更新を昨日の高値・安値更新にロスカットラインを切り替えれば感度は上がります。状況や時間帯に応じては、当日の高値・安値更新に切り替えて用いることもあります。強いトレンドが感じ取れる場合には、この方が適しています。

本サイトは理論を追求するよりは解決を志向するものであり、またモデル化は自分の才能や個性、トレードスタイルにより個人差があるものなので、詳述なデータはここでは述べませんが、モデル化の背景にあるのは、ウィリアム・ダニガンのスラスト法や酒田五法の上げ三法・下げ三法・赤三兵・黒三兵などです。それらの原型とは大きく姿を異にしますが、これらをヒントとして私が経験した相場から帰納法的に抽出したものです。利小損大の戦略からは、エントリーからの利益確定のプロセスよりもロスカットのプロセスを適切化させることが必要です。そのため、本来エントリーの際に使用することを想定して作られたモデルをロスカットのモデルに転用しています。

Copyright© ORTHRUS STRATEGY , 2020 All Rights Reserved.