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9 トレンド判断

9.15 トレンドの継続をいかに捕捉していくか

トレンドは、その転換点がどこかを軸に考えるべきことを述べてきました。ここからは、転換点で発生したトレンドが次の転換点まで推移する様をどのように捕捉していくべきかを考えます。具体的には、トレンドラインと移動平均線とを用います。

トレンドラインと移動平均線は用い方に注意が必要です。これらの概念は後からチャートを分析する際やトレンドを追尾していく際には非常に有効ですが、リアルタイムで進行するチャートの転換を捕捉するツールとしては、転換パターンやサポート・レジスタンスラインと比較して判断が時間的に劣後しますし正確性も劣ります。どういうことか説明しましょう。

トレンドラインを引くには、二点の上向きに連続する山もしくは下向きに連続する谷が必要ですが、これだけでは明確にトレンドが発生したとはいえません。そして、その二点の延長線上に三点目の山・谷が確認された後となっては、それなりの時間が経過しており、いつ次の転換が生じるか分からないため、そのトレンドラインを背にポジションを取るのはもはや危険な状況となっている場合があるということです。まして、四点以上の誰の目にも明らかとなったトレンドラインは、ブレイクの危険性を常に内包しているといえます。そもそも山や谷自体が、チャートが描画された後の形状の比喩である点からも、その形成過程においてそれが本当に山や谷となるのかという懐疑が付きまといます。

移動平均線においても同様の問題があります。たとえば、移動平均線を用いた代表的な売買サインとして、ゴールデンクロス・デッドクロスがあります。短期移動平均線と長期移動平均線との交錯をもって売買サインとするこの手法は、発生時において既に実際の価格の軌跡は明確なトレンドを十分に示した後であって近い未来に転換の危険性を孕んでいる場合がしばしばあります。また、たとえば一口にSMA21などといっても、どの時間足をみるかによって異なるサインを示すことは珍しくありません。

「自分が買うと下がる、売ると上がる」と嘆く人は、5.3 サポート・レジスタンスと逆指値との関係で述べたような逆指値に対する理解が不足している方だけでなく、トレンドラインや移動平均線の用い方に問題があるケースもあります。つまり、あらゆる場面において、移動平均線やトレンドラインの有効性を均一に考えているのです。

このように、リアルタイムにおけるエントリーや決済の根拠としては、サポート・レジスタンスや転換パターンと比較して、有用性が低い場合が多いことをまず述べておきます。これはもちろん、あらゆる場合において、エントリーや決済の根拠とならないと主張しているわけではありませんし、その有用性を否定するものでもありません。私にしても、トレンドラインも移動平均線も恒常的に描画させています。そして、ポジションサイズを調整したり、利益確定のタイミングをより一層早めたりすることで、これらを用いたトレードは日常的に行っています。ただ、基本的には事後的な性格を帯びているのだということを常に意識しておく必要があります。

最終的に最も大切なのは、リアルタイムにおけるトレードにおいて、どのような場面でどのような解釈をすることで、利益を上げる助けとできるかです。その意味では、サポートとレジスタンス、転換パターンを軸として考え、トレンドラインと移動平均線とは、特定の戦術的場面を例外とすれば原則として補助的に用いるべきものだと思います。

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