4.5 基準足を設定する意義

4.3 各時間足への意味付けにおいて、デイトレードにおける時間足は15分足を基本軸として考えるべきとの見解を述べました。そこで、15分足を基準とする意義について、もう少し詳しく敷衍します。また、そもそもなぜこのように基準となる時間足を設定するのかについても説明します。

なお、4.3 各時間足への意味付けで述べたように、15分足を基準にするのは為替と仮想通貨(BTC)であり、株式においては5分足を基準とします。また、株式では時間足よりも何時頃にどのような取引をするかを重視します。従って、以下の記載は為替と仮想通貨を前提として著述しておりますが、株式においても基本的な考え方は同じです。

15分足を基準足とする理由

一般に、チャートを解釈する場合、その時間足の単位が長ければ長いほど信頼性は高まります。週足のトレンドは日足のトレンドより正確であることが多く、日足のそれは4時間足のそれより正確とされます。

しかしだからといって、月足や週足を中心とすると機会損失が非常に多くなり、特にデイトレードではあまりに歩みが遅くなります。

逆に、1分足や10秒足を基本とすると、極めて多くの参入を検討できる機会が訪れます。しかし、短期足に基づく判断は当然のことながらノイズが大きくなります。

ここで世の多くの場合にそれが正解であるように、中庸を志向します。1日の間で参入機会がしばしば訪れ、且つトレードの安定性を備えたトレードモデルを構築する素材としては15分足が最適であると経験則から感じます。繰り返しますが、私はこれが唯一絶対の解だと主張しているわけではありません。私自身のトレードスタイルや個性・才能に基づき現実の相場に対峙した経験から帰納的に見つけ出した時間足です。

基準足を設定する意義

なぜ基準となる足を設定するかというと、三つの理由があります。第一に、異なる時間軸の相場状況でも統一的な視点から解釈できるようになるからです。第二に、トレンド推移の観測は、基準足との相対的な関係において決せられるべきだからです。第三に、相互に矛盾を示すことが珍しくないチャートを判断するためには、最優先すべき時間足を決めておかなければ混乱をきたすからです。

共通の思考基盤となる

基準足の概念は、その時間足に基づいてのみトレードするという意味ではありません。また、その時間足でトレンドチャネルを引くという意味でもありません。それよりももっと根本的な要素です。別の言葉でいえば「典型モデルを作成するにあたり発想の出発点となる時間足」という表現もできますし、「様々なトレードモデルにおいて共通して用いる基盤となる時間足」という表現もできます。

具体例を挙げるために少し先走りますが、次節の4.6 損切りから逆算したトレードの典型モデルでは、このような観点から、15分足を1本の終値だけに注目して損切り条件として用いる場合を短期、1本の15分足の中身を詳しく分析したり複数の15分足と組み合わせて転換サインとして用いる場合を中期、一定数の15分足を塊りとして捕らえオシレーターとして用いる場合を長期と設定しています。このように、各期間をバラバラにとらえるのではなく、15分足という共通する思考基盤を用いて統一的に解釈していくわけです。

短期足→長期足に具現化していくトレンド推移を観察する際の基準

トレンドの転換は、短期足から始まって段階的に長期足へと現象化していきます。その意味で、長期足の方が短期足よりも信頼性は高いといえます。しかし敢えて極端にいえば、仮に10秒足から月足までの転換を待っていては参入機会は皆無に等しくなってしまいます。したがって、より簡潔化された形に変形させなければ、デイトレードにおいて実践的で有用な道具とはなりません。

そこで、中心として15分足を置き、15分足との関係で下位の5分足、上位の1時間足または4時間足がどうなっているかを考える形に簡略化させ、その切り替わりを把握することで短期足から長期足への転移を観測していきます。

最優先する足を決めておく必要がある

たとえ信頼性は長期足であればあるほど高かったとしても、現実のデイトレードで月足だけをみて戦うことは困難です。そのため、デイトレーダーとしての有用性が高い時間軸を中心に売買を考える必要があります。

また、長期的にみれば小さい足から徐々に長期足へとトレンドの転換がなされるといっても、現実的にはそのプロセスの過程の中で相互に矛盾するような推移を示すことは多々あります。後から結果論として解説するだけなら答えが分かっていますから無視すればいいだけですが、デイトレーダーはリアルタイムで判断する必要があります。

以上の理由により、一日という時間軸の中で最も信頼性と利便性とが両立すると思われる時間足を決めておかなければ、迅速かつ適切に判断できません。逆にいえば、基準となる足が決まれば、他の時間足はその中心となる時間足との相対的な関係で解釈できるようになります。

基準足を変更する場合の注意点

相場は流動的な存在であり、トレーダーもまた各人の個性があります。私にとっての最適解は15分足を基準とすることですが、その私にしても今の相場状況は5分足でみた方がよいと考えたり、1時間足や4時間足、場合によっては日足レベルで考えた方がいいという結論に達することもあります。この場合、中心となる基準がズレることで、相対的にみる上位足・下位足も当然に変化します。

ただ、こうすると、思わぬところで勝手が違い違和感を感じる場合があります。戦略とは統合的な体系性が必要であるところ、一つの要素の媒介変数を変えてしまうことで、想定していなかったところに影響が出てくる場合があります。

感覚的に微調整ができる時は良いのですが、そうでないこともあります。それがトレードの結果に悪い影響として出た場合は、無理をせず一旦待機する方がよいでしょう。デイトレーダーにとって重要なのは、自分が利益を獲得できる場面を適切に抽出し、それを実現することです。

最も大切なことは、自分の個性・才能に適合した形の一貫した総合的な思考体系、すなわち戦略(参照:1.2 戦略は、テクニカル分析・ファンダメンタル分析より重要である)です。思い込みを排し、仮説を立てては効果を確かめ、その結果を受けて修正を繰り返していくことで自分のトレードスタイルが完成させれてくるのだと思います。

▷次節:4.5 損切りの短期典型モデル

-4 損切り