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9 トレンド判断

9.12 トレンド反転機会としてのサポート・レジスタンス

トレンドは、ダブルトップやヘッドアンドショルダーのような転換パターンだけでなく、サポート・レジスタンスからの反発によっても逆向きに変移します。もちろん、これらのラインと転換パターンとは全く無関係の別個の存在ではありません。むしろ、相互補完的な関係にあるといえます。というのも、なんらかのサポートやレジスタンス上で描画された転換パターンは、二重のサインとなるが故により重要な転換サインと判断できるからです。

サポート・レジスンタスの機能については、5章サポートとレジスタンスにおいて既に述べた通りです。サポート・レジスンタンスについて9章トレンド判断とは別に独立した章を設けた意味は、これらが損切りと密接な関係をもつからです。繰り返し述べているように、ORTHRUS STRATEGYは利小損大の基本方針のもと、損切りの発生確率を極力抑えこみ、やむなく実行する際にはそのタイミングと価額を合理的なものとすることを戦略的中核としています。サポート・レジスタンスは、逆指値が集中的におかれる価格帯となり、ORTHRUS STRATEGYの損切りモデルもまた、サポート・レジスタンスに逆指値を設定しています。逆指値が多くおかれるということは、換言すれば、これらが機能し価格が逆方向に反発する可能性が高いと期待されているということです。しかしその一方で、これも繰り返しとなりますが、逆指値がおかれているからこそ、それを逆手にとり逆指値を一気に狩ってそのままブレイクしトレンドに勢いがつく可能性もあります。さらに、一旦大きく値を伸ばした後に逆方向に反発する可能性も秘めています。いずれにせよ多くの逆指値がおかれていることで、値動きが激しく、今後のトレンドのキーポイントとなるラインです。そのため、反発の可能性に期待する一方で、トレンドに勢いがついて含み損が一気に拡大するのを防ぐために、ここを損切りのラインとするわけです。

5章では主として、このような激しい性格を纏ったある期間における最高値・最安値を通る水平線について述べていますが、これとは性格を異にするサポート・レジスタンスがあります。それがフィボナッチ・リトレースメント、フィボナッチ・エクスパンションによるサポート・レジスタンスです。フィボナッチはある種の経験則、自然と生じる比率的均衡です。最高値・最安値や逆指値といった人為的な要素によるものではありません。それゆえに反発するにせよ突破されるにせよ最高値・最安値のラインとは異なる特徴的な動きをします。すなわち、逆指値がもたらす売買の混沌が無いので需給に素直に従いやすくなります。上昇トレンドがフィボナッチのレジスタンスを突破する際には、一端勢いが止められはするもののフィボナッチのラインにまとわりつくようにリズム感のある活発な売買が展開される傾向があります。それに対し反落するときは、物静かでゆっくりとした歩み値で静的なチャートが描かれます。これは出来高の問題でもあるのですが、それだけではありません。フィボナッチで反落する場合は最高値・最安値のようなピンポイントな基準でないが故に少しづつ恐る恐る上を試すような動きを示した後に、短時間のソーサートップのチャートを描いた後に一気に叩き落としてくる傾向があります。逆に下落トレンドからフィボナッチのサポートで反発するときは、長時間のソーサーボトムを形成した後に徐々に上がってくる動きを示し、サポートをブレイクするときは、段々と反発の山が小さくなっていき、最後の小さな山で出来高が細ったところで一気にブレイクする傾向があります。

いずれにせよ、特徴的な動きがあり、高値・安値のようにAIによる瞬間的な激しい攻防が生じるわけではないので、利益確定や損切りのみならず、エントリーもしやすい場面です。

なお、フィボナッチはあくまで自然界のバランスですから、人為による別の節目が重なった場合には判断基準として劣後させます。たとえば、トレンドライン、高値・安値、転換パターンなどがフィボナッチライン付近に出現していればそちらを優先的判断基準とします。

ここで、トレンドを転換させるに足りるほどの力となりうるサポートとレジスタンスについて今一度整理しておきましょう。ある連続する波動の山の頂点もしくは谷の底を通る平行線が代表的で一般的なサポート・レジスタンスですが、これから述べる以下のものは中長期における強いトレンドさえも転換させる強い抵抗値を帯びている可能性があります。

このような強力なサポートとレジスタンスとなり得るのは、まず、ある節目となる期間の最高値・最安値です。前日と当日、過去3日間、前週と今週、前月と当月などの最高値・最安値です。これは5章で述べたように、トレンドとは高値・安値の更新の連続的成功ですから、逆にいうと更新するためには何等かのエネルギーを必要とします。特にそのようなエネルギーがなければ価格はそこを限度として反発する可能性が高くなります。ただ、何度も述べているように、それゆえに損切りの逆指値が置かれやすい場所でもあるので、このあたりの価格の変動は歩み値を伴って精緻に観察する必要があります。

次に、ある時間足の中で出来高の顕著に高い長大な陰線陽線の終値付近の価格帯を通る水平線です。これは、長大な蝋燭足が大きな出来高を伴って形成されているということは、現物の大きな買い・売りが出された可能性が示唆されています。この際に、同じくらいの現物の反対売買が伴えば、それは長い上髭なり下髭なりが形成され実体部分は短くなるのですが、そうではなく実体部分が長大な場合は、陽線なら現物の買いが陰線なら現物の売りが一方的に大量に出されている可能性が高くなります。ということは、売買の受け手側の信用勢の比率が通常より高くなっているということです。信用勢はいずれ反対売買による決済の必要がありますから、含み損となった彼らは同値撤退を狙うべく建値で指値をだしている可能性が高くなります。そして、8.12で述べたように、トレンドとエネルギーとは指数関数的関係が一般に成り立ちますから、終値の方でより多量の出来高が積みあがっている可能性が高いといえます。それゆえに、この終値付近に値が戻った時に大量の同値撤退の指値が決済され、反発を示す傾向があります。故に、終値を通る水平線を引き、これを強力なレジスタンスと考えることができます。

最後に上に述べたように、フィボナッチリトレースメント・エクスパンションです。特にリトレースメントの38.2%、61.8%は重要です。これらは自然界の均衡状態と評価されるべきものですから、人為によるラインが存在する場合には判断基準から後退するものの、確かに存在する支持線・抵抗線です。人為による多くの逆指値・指値が置かれているわけではないので、その動きは需給によるものとなり、最高値・最安値や出来高を伴った長大な陽線・陰線とは異なる動きをとります。特に、最高値、最安値を更新し続け、どこまで進むか分からない混沌とした一方的な相場においては、なんらかのフィボナッチラインでそのトレンドが止められることはしばしば観察されます。

この他にもある価格の節目、たとえば為替なら1円ごと、ビットコインなら1万ドルや10万ドルごとの切りのよい数字もサポート・レジスタンスとして機能します。このラインは投機的な売買が多く行われますが、これだけでは中長期のトレンドを変化させるほどの力はありません。ただ、上に述べたような3つのサポート・レジスタンスがたまたま価格の節目であった場合には、その強度が補助されるイメージはもっておいた方がよいでしょう。

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