""

9 トレンド判断

9.14 トレンドの重要局面で観察される現象 ~周期変動の対数周期性

トレンドの転換点やブレイクポイントなどの極点がいつ発生するかを適切に捉えることができれば、トレードにおける判断優位性が高まります。そこで、これらの極点ではどのような現象が生じているのかを解説します。

注目すべき前兆現象は、周期変動のサイクルが対数周期的に短くなっていく現象です。たとえば、最初の山と谷は10分で形成され、次は5分で形成、最後は2分で形成といったように、波動が敏感になっていきます。この現象の最も典型がトライアングルであり、シンメトリカル、アセンディング、ディセンディングのいずれにおいてもこの現象が観察されます。

周期変動の対数周期性は、トレンドの時的発生点を予測するものにすぎず、その方向性に影響を与えるものではないことに注意しましょう。ここに考えが及べば、9.2 トレンド発生の継続性と例外性の節で述べたようにトレンドは原則として継続しますので、再び以前のトレンドを引き継いで上昇・下降していく運動がアセンディング、ディセンディングだと理解できます。

このような周期変動の対数周期性に注目することによりトレンドの時的発生点をとらえ、トレンド判断の正確性をより一層高めることができます。事例を使って説明しましょう。

たとえば、ヘッドアンドショルダー形成の可能性を考慮し、ショートを入れたところ、価格がブレイクポイントにさしかかったケースを考えます。このとき、基準としたヘッドアンドショルダーの時間足が1時間足であった場合、より短い時間足である10分足、場合によっては5分足・1分足で観察し、この周期変動の対数周期性を伴う動きが生じているかを確認するのです。そうすることで、ブレイクを否定する方向へ一時的な反発が生じたりしても、周期変動の対数周期性がまだ臨界点に達していなければ、その動きはエラーの可能性が高いとして無視する処理ができるようになります。

周期性が臨界点を迎えたと判断するためには、少なくとも3回の短縮が生じていることを目安とすべきです。つまり、直前に生じた動きを繰り返すような動きが再び生じており、その二度目の動きが一度目の動きを形成するのにかかった時間よりも短い時間で形成された時点で、周期変動が臨界点に達しつつある可能性を考慮し、これ以降の動きのみをトレンド判断の材料とすればよいことになります。このようにすることで、ブレイクポイント付近で生じるエラーの動きに動揺せずに、落ち着いてどちらの方向にチャートが進むかを判断することができるようになるのです。これにより、わずかな反発に動揺しポジションを切ったところ、その後ブレイクが生じ、やっぱり持っておけば良かった、と嘆くような事態に陥ることは相当程度抑えることができます。

対数周期性を伴った周期変動は、トレンドの重要局面で観察される現象として唯一ではありませんが、最も典型的なものです。逆にいえば、自分がある見立てをマーケットに対して持っているときに、その見立てによれば重要となる局面にチャートの価格が迫ってきたにもかかわらず、下位の時間足において特に何の特徴もない均一のサイクルの波動しか描いていないのであれば、その見立てが間違っている可能性があります。そのような平凡な波動により何となくトレンドが発生したり転換したりすることが全く起こらないわけではありませんが、確率的優位性がある以上、あまり自分の当初の見立てに拘泥せずに別の可能性を考える柔軟性を忘れないようにしましょう。

また、このようなサイクルの短縮化を生じる間もなく、一気に逆指値を狩ってきたり、買い支えや売り押さえで一方向に動かしてくることもあります。自分のポジションに合えば短時間で大きな利益が獲得できますが、逆方向に動かされ悔しい思いをすることもそれなりに生じます。ただ、長期試行性の下では確率的優位性のある判断の連続が勝利への鍵となります。一喜一憂せず、一つ一つのトレードを高質なものとすることに意識を集中することが大切です。

Copyright© ORTHRUS STRATEGY , 2020 All Rights Reserved.