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9 トレンド判断

9.4 ダブルトップ

転換の最も基本にして最重要となるパターンが、ダブルトップ・ダブルボトムです。トレンドとは、前回の山・谷を越えて連続的に形成される新たな山・谷であるところ、前回の高値・安値を越えることに失敗した最も原初的な形態がダブルトップ・ダブルボトムであるからです。両者の中でも、ダブルトップはより条件が簡潔であるため最初に取り上げます。

テクニカル理論の元祖の一つであるダウ理論においては、トレンドとは、高値・安値のそれぞれがその直前の高値・安値より上にあれば上昇トレンド、下にあれば下降トレンドと定義します。前節でみたようにトレンド発生は例外的事象ですから、トレンドとは連続的に発生する例外的事象です。従って、上昇トレンドの最中に前回の高値を越えられなかったとしても、それはあくまで原則への自然な回帰であって、即座にトレンドの転換を意味するものではありません。言い換えるならば、価格には天井と底において跳ね返されやすいという性質があるということです。従って、前回の山を越えられなかったからといって、即座にダブルトップが完成するものではありません。前回の山を越えられなかった場合、その後の展開としては以下の図1と図2の二つのパターンがあり得ます。図2を用いて説明すると、前回の高値iをkにおいて越えられなかったとしても、必ずしも下降トレンドへの転換を意味しません。高値と安値の範囲内であるij間の価格帯をl,m,nにおいて彷徨いつつ保ち合いを形成し、最終的にはoにおいて高値をブレイクし上昇トレンドが再開することはよくあります。また、トレンド継続の可能性の方が高いものの、nからそのまま下落していくパターンもあります。

ダブルトップの完成は図1のfにおいてなされる点に注意が必要です。すなわち前回の安値であるdを基準とするサポートラインを終値ベースで割って初めてダブルトップが完成するという点は改めて確認しておく必要があります。eもしくはkの時点においてショートポジションを建てること自体には賛成ですし、定石といってよいと思います。しかし、最初の試みで前回の山の頂点を越えられなかった事実をもって、直ちにダブルトップと判断してはなりません。それはむしろ原則への回帰であり、自然な現象です。一旦の休息の後に再度同方向へのブレイクがiにおいてなされる方が、むしろ確率としては高い点には重大な注意を払う必要があります。

問題は、前回の高値付近であるeもしくはkにおいてどのような判断を下すかです。リアルタイムでチャートが描画される以上、これが図1のダブルトップなのか図2のトレンドの継続なのかを確率的優位性をもって判断できる方法が問題となります。参照の利便性のため、図を再掲しておきます。まず、出来高の観点から考えて見ます。出来高を二次指標とする判断方法は、前回の山を越えられるかという点においては優位な判断基準となります。通常、図1のダブルトップにおいても図2の保ち合い移行においても、2つ目の山付近においては最初の山付近より出来高が減少します。図でいえば、de間もしくはjk間においては、bc間もしくはhi間よりも出来高が減少するのが通常です。付記していうと、この間の出来高が少ないにも関わらず山を越えた場合は、ヘッドアンドショルダーの可能性が高くなります。ただ、この時点では、トレンドの継続が一旦とまったというだけで、図1のパターンか図2のパターンかの判別はまだできません。この判別のために注目すべきは高値を超えられなかった次の動きです。ダブルトップ形成の場合はef間においての出来高がde間よりも大きくなる傾向があります。つまり高値圏とみて売りにでるトレーダーが多くなるということです。これに対し、kl間で出来高が増えるケースはほぼ観察されません。加えて、lm間、mn間にかけても更に出来高が減少する傾向があります。

次に、高値に挑む直前の谷に注目する方法があります。図でいえばdもしくはjがそれに当たります。この谷が、前回の山の頂点であるaもしくはgを通る平行線を侵食するかどうかには一定程度の傾向が観察されます。すなわち、aを通る平行線をdが下回った場合には、ダブルトップとしてのeをつける可能性が多少高く、逆に、gを通る平行線をjが下回らなかった場合には、トレンドの反転は生じず保ち合いか再度の上昇を見せる傾向があります。ただ、これを根拠にして実際にポジションや決済を決断するほどの確率的優位性があるかというと、私の経験上、少し頼りない印象があります。一つの目処としては有用ですが、こちらの判断基準は、あくまで目安にとどめるべきだと思います。

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