""

9 トレンド判断

9.5 ダブルボトム

ダブルトップを理解すれば、その変形としてダブルボトムは会得できます。ただし、ダブルボトムはダブルトップを上下反転したもの、という単純な認識では不十分です。本節においては、ダブルボトムに特有の性質を論じます。換言すれば、その他の点においてはダブルトップの反転的な理解で問題ありません。

両者の最大の違いは、出来高です。ダブルトップから下降トレンドへの転換については、必ずしも出来高を伴うとは限りません。出来高を伴う下落であれば極めて有用なサインとなりますが、いつも発現するわけではないことには留意しておかなくてはなりません。それに対して、ダブルボトムから上昇トレンドへの転換に際しては、出来高による裏付けが不可欠です。たとえダブルボトムと相似した価格の軌跡がチャートに出現したとしても、出来高の顕著な回復が伴っていない場合、反転パターンとは無関係である可能性が高いことには注意が必要です。

特に株式とビットコインにいえますが、価格には重力というべきものがあります。この重力は通常下方向に働きます。ファンダメンタルやテクニカルが真空状態であるならば、価格は落ちていく傾向があるということです。もちろん株式会社、そしておそらくは暗号資産も、総合的・長期的にみれば時間の経過とともにファンダメンタルの肉付けがなされ右肩上がりに成長していく性質があります。しかし、デイトレードを中心とする短期トレードにおいては、より大きな関心をこの重力に対して払わなくてはなりません。なんとなく散歩していたら、ある日エベレストの頂上にいたということが有り得ないように、なんとなく上昇トレンドに転じることはありません。エベレストに登頂したいという強い熱意とエネルギー、すなわちマーケットにおいて熱気に相当する出来高が上昇トレンドへの転換には必要です。

これはいわゆる値頃感トレードに対する警告でもあります。重力がある以上、なんとなくここ最近の価格帯の中で安く感じるからといって安易に参入してはなりません。更にいえば、何となく高く感じるから売ってみる以上に、なんとなく安く感じるから買ってみる方がより危険性は高くなります。

出来高を伴わない下落トレンドから上昇トレンドへの転換は殆ど生じないということは、逆のパターンと比較して発生条件が厳しいということです。つまり、端的にいえば、ダブルボトムの方がダブルトップより発生確率は低いことになります。また、出来高を必要とするゆえに、形成には時間がかかります。つまり、ダブルトップは比較的短い時間足でもサインの有効性があるのに対し、ダブルボトムにおいては短い時間足で類似する形が出現したとしてもその信頼性は相対的に低くなります。

以上のように、ダブルボトムには出来高に顕著な特徴があります。このようなダブルボトムの特性をより深く理解するために、出来高を伴わない上昇にはどのようなケースがあるかを典型として把握しておく必要があります。

出来高を伴っていない反転でまず考えられるのは、大口のショートが利益確定の買いを入れたために価格が一時的に反転したケースです。これは大抵なんらかのサポート付近でなされるので、その点からも反転サインだと誤解しやすく注意が必要です。ただ引っかからないようにする対策は難しいものではありません。10分足を基調とするORTHRUS STRATEGYでは、このようなショートの決済によるエラーサインは10分という時間内に吸収・消化されるのが通常だからです。逆にいえば、1分足や5分足でサポート付近の顕著な反発があったからといって、即座に反転のサインだと判断してはならないということでもあります。ショートの決済の可能性は常に意識しておくことが重要です。

また、ダブルボトムから離れますが、ファンダメンタルの裏づけがある強烈な上昇の場合も出来高を伴わずに一方的に上昇していくケースがあることをここで押さえておきましょう。つまり、ロングポジションを持つトレーダーの多くが、短期に決済する必要を感じておらず更に利を伸ばそうと考えている場合です。この現象は、特に値幅制限のある株式においてはしばしば生じます。一番分かりやすいのは、IR等でインパクトのある材料が浮動株の少ない銘柄で出た場合に、連日してストップ高が続くようなケースです。このような場合に、価格の上昇に対する出来高の低さをもって、トレンドをフェイクだと判断することはできません。もちろん、仕手筋による上げの可能性や行き過ぎた狂乱的上昇の可能性など、別の根拠でフェイクトレンドである可能性を検討する必要はありますが、少なくとも出来高の少なさをもっては真贋を判断できません。

以上より、ダブルトップとダブルボトムとの特性とその違いについて説明してきました。次節では、この両者の特性から導かれるエントリーポイントの違いについて解説します。

Copyright© ORTHRUS STRATEGY , 2020 All Rights Reserved.