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強烈なトレンド発生時における戦術

銘柄の材料よりも地合いが重要

地合いが良い局面に限定される

この戦術の使用場面はマーケット全体の地合いが良い局面に限定されますが、上場一部銘柄を漠然とホールドするより遥かに短期間で高い利益を上げられる有効な戦術です。市場全体の出来高が高いときには更に期待可能性が高まります。マーケット全体の底上げを支援する明確な材料があり、週足レベル以上で強いトレンドが観察される場合には一考してみましょう。

念のため繰り返しますが、この戦術の有効性は、個別の銘柄の材料そのものよりも全体の地合いが重要です。もちろん会社の利益にダイレクトに直結するような桁外れの好材料が出た場合は別ですが、それは本戦術とは別の、ファンダメンタルに基づく売買戦術になります。

より酷い愚者の理論の戦術的応用

これはいわゆる「より酷い愚者の理論」の戦術的応用です。マーケットは常に不完全情報の場であり、それゆえに時として非合理的なチャートを描きます。その非合理性を逆手にとれば、利益を獲得できる合理的戦術へと昇華させることができます。

持ち越すストップ高銘柄をいかに選別するか

当たり前ですが、この戦術ではまずストップ高の銘柄を購入しなければなりません。15:00の大引け時点でストップ高銘柄に買い注文を入れていた場合は抽選となりますが、当選方法は各証券会社で異なりますし、そうそう購入できるものではありません。購入できたとしてもごく僅かな株数にとどまるのが通常です。したがって、再現性が高く継続的な利益を発生させる戦術へと昇華させるためには、ザラ場の中で極めて強い上昇を見せる銘柄をどのように選別し取得するかが問題となります。

私は楽天証券のマーケットスピードを中心に使用しておりますが、どの会社のツールでも当日のストップ高銘柄や寄り付きからの上昇率をリアルタイムで示すランキング表は提供されていると思いますので、まずはそれを監視します。

リアルタイムで監視していれば、ストップ高をつけた、またはつけそうな銘柄をみつけることは難しいものではありません。気付いた時点で既にストップ高がついている銘柄でも、売りが溜まって一瞬剥がれることは多くあります。それを狙ってストップ高に成り買い注文を入れておけば剥がれた瞬間に買うことはできます。

しかし問題は、自分が取得した後でもまた剥がれる可能性がある点です。一旦剥がれた結果、大崩れしてしてしまい、ストップ高の価格には戻らないこともよくあります。もちろん、大崩れした後に、再度ストップ高をつけるケースも多いですが、もしそのまま崩れた場合には救出可能性が低くなるリスクが存在します。また、翌日の寄り付きが前日のストップ高価格を下回るリスクも当然に存在します。

したがって、翌日に持ち越す銘柄は慎重に選別しなければなりません。このことを如何に判断すべきでしょうか。

大引け直前で崩れる銘柄は危険

この点については、第一に市場の時間帯に注目すべきです。15時の大引け直前、具体的には14:30~15:00頃に剥がれ現象が生じた場合は、そのまま大崩れするか若しくはストップ高に戻ったとしても翌日の寄り付きは前日につけたストップ高以下となるケースが多く観察されます。

大引け直前で崩れるのは、マーケット参加者の意識として、いざストップ高となったものの、オーバーナイトリスクを負うほどには確信を持てず、やはり手放そうと考える人数の方が購入希望者数を上回っている状況だからです。いくら購入前に熟考していようとも、現実にポジションを持つことで初めて分かる感覚があります。いざ大引けの時刻が迫ってくると、オーバーナイトするには怖いと感じる感覚、そして売却を考える感覚が、ポジションを現実に持つ者にリアルに迫ってきます。それほど深く考えずに勢いで購入したホルダーでも、リスクを考慮する感覚が強制的に迫ってきます。特に、同時刻帯のマーケット全体の地合いが不穏な空気を感じさせる場合には、翌日の寄り付きを警戒して手放そうとする空気は高まるでしょう。

大引け直前に剥がれる動きは、いわばそのような集合知の結果と評価できますから、ここで狙うべき銘柄ではありません。もしまだ購入していなければ、14:30以降に剥がれたとしてもそのまま見送るべきでしょう。逆に自分がもし既に購入していたのならば、14:30以降は売り注文を出しておき、崩れなければ14:59:55頃に売り注文をキャンセルすればよいでしょう。

午前中の早い段階でストップ高を付ける銘柄が良い

一番期待可能性が高いのは午前中の早い段階でストップ高をつける銘柄です。上昇途中において購入できるのが一番ですが、仮に最初のストップ高をつけるまでに買えなくても、その後に剥がれる瞬間を狙い買い注文を入れておけばよいでしょう。

注意すべきは、このような銘柄は一旦剥がれたとしても直後にすぐに買いが殺到するので、仮にホルダーが購入後に安全のためストップ高の価格で売り注文を入れていた場合には、売却されてしまい、買い直しが難しくなることが多くある点です。この点については、翌日の利益獲得の期待可能性から負うべきリスクだと考え、取得後に安易に売り注文を入れるべきではないと考えます。ただ、この場合でも14:30以降に剥がれるケースは、やはり先に述べた原則に従い手放すのが賢明でしょう。

翌日にいかに動くべきか

始値が前日のストップ高の価格を上回る場合

翌日は、原則として寄り付き、もしくは違和感を感じる動きがあればすぐに売るのが原則です。高値をつけた寄り付き直後から更に一段と急激な上昇を見せることもしばしばありますが、確実な利益確定を優先させます。

始値が前日のストップ高の価格を下回る場合

もちろん、場合によっては寄付の値段が前日のストップ高の価額を大きく下回ることもあります。しかし、その発生可能性は全体の地合いが良い場合にはそれほど高くなく、またその場合でもその日のうちに一度は前日ストップ高付近の価格まで戻ることが多く観察されます。したがって、撤退の指値を前日のストップ高終値と同値ではなくそれよりやや低いラインに置けば、微損撤退で被害を抑えられるケースが多くなります。もし残念ながら刺さらなかった場合は、当日の大引けで必ず損切りします。

始値が前日のストップ高付近にある場合

最も判断が難しいのは、始値が前日のストップ高価格付近の値である場合です。原則的には同値撤退を狙うべきですが、ストップ高価格をわずかに下回る始値であった場合、依然として地合いが良ければ、前日ストップ高終値のレジスタンスラインを突破し急激な上昇を見せるケースが多く観測されます。一般に、寄り付き直後は新規注文が多くはいり勢いがあるので、その他の時間と比べると容易にレジスタンスを突破してくる傾向があるからです。このような場合に同値で売ってしまうと非常に強い後悔に苛まれてしまうので悩みどころですが、少なくとも同値撤退は間違いではないことを念頭におくべきです。

ルールに従うことが出来れば、戦術的有効性は高い

この戦術は何をやるべきか行動指針が明確であり、短時間で決着が着きます。場合によっては数日間ストップ高が続くこともあり、リターンの期待がリスクを大きく上回る戦術です。ORTHRUS STRATEGYが推奨する利小損大の戦略は、リスクリワードを利益と損失との価額の絶対値において図るのではなく収益の期待可能性と損失の発生可能性とで図る点、また損切りラインとそのタイミングが明確である点に戦略的優位がありますが、この戦術においては価額の絶対値においてもリスクリワードが成り立っており、損切ラインとそのタイミングも明確なため、極めて有効な戦術だと考えます。

この戦術は、いわばマーケットの地合いの勢いに身を委ねる方策ですから、時として銘柄のファンダメンタルとかけ離れた株価で購入することになり、恐怖心を覚えることもあると思います。この点については、ORTHRUS STRATEGYでは、少ない投資金額を数百万~一千万に増やすことを繰り返すことで全体資産を増やす方針を推奨しています。巨額の資金を運用するには本サイトとはまた違う戦略・戦術が必要と思いますが、寡少な資金を大きく増やすことを狙う場合においては、PERやPBRに代表されるような様々なファンダメンタル指標は、バリュー理論の根拠として直接的に用いるものではなく、ファンダメンタルでありながらもテクニカル的に用いるものでしかありません。特に新興市場においてはそうでしょう。すなわち、同業他社の時価総額や売り上げを比較することで株価がどこまで伸びるか落ちるかを予測したり、次に資金が回ってくる可能性がないかなどを探る手段でしかないということです。短期で大きく利益を獲得するためには、ときには恐れずに相場の流れに乗ることも重要です。大きな利益が狙え損切りラインが明確であり、それゆえに勝負に出る価値のある戦術です。

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