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2 自己分析

2.2 最初にすべきは自己分析

投資の実績が学問的な才能と一定の関連性をもつことは、多言を要さないと思います。状況を分析し相関・因果関係を理解しある法則性を見出しなんからかの仮説を建てて売買に移し実証していく過程には、学問のそれと共通するものがあります。しかしだからといって、学才があればマーケットにおいて成功できるというものでもありません。マクロ経済学を打ち立てたケインズは投資で大成功を収めた一方、古典力学の祖であるニュートンは大失敗をしています。また身近な例をみても、機関投資家はこぞって名門大学の卒業生を採用し実績を上げている一方で、個人投資家として財を築いた方の中には高等教育を受けていない方もおられます。

では、個性が、すなわちある特定の性格傾向をもっている人が勝ちやすいのか。論理学においては逆は必ずしも真ならずであるところ、これもまた影響はあれど、決定的なものではないと考えます。先に述べたように、ある性格的特徴というのは、適性として機能することはあれど、本質的に優劣がつけられるものではありません。たとえば楽観的な性格は利益を伸ばしていく場面では有利に働くでしょうが、危険が差し迫る場面では状況判断を誤る危険性を秘めていますし、悲観的な性格はその逆となります。

ではなにがコアになるのかというと、それは自分の「才能」と「個性」とを正確に把握しそれにあった売買手法を見つけ出すことだと思います。なぜ「個性」と「才能」を把握する必要があるのか。それは認知に歪みが生じるのを極力防ぐためです。どのような才能があり、どのような個性を持った人間であるかが重要なのではなく、自分にどのような才能があるか、自分の個性がどのようなものかを把握することが重要であり、その結果自分がマーケットから利益を回収できる場面を適切に抽出できるということです。端的にいえば「己を知ること」です。これは具体的売買の場面において、自分にあった戦略を作り上げ、その戦略に適合するマーケットの局面でポジションをとり、適合しない状況の場面ではポジションをとらないといった形で機能していきます。

自分に何ができ、何ができないのかを知ることです。全ての情報を理解し、あらゆる売買手法に精通し、どのような状況下でも利益を収めることができる完璧なトレーダーを目指す必要はありません。自分の適性を把握できなければ、様々な情報や売買手法に対する理解をどの程度のレベルでこなすべきかの判断ができなくなります。自分の適性からみて重要なものには時間をかけ、そうでないものには淡い理解で良いと判断できれば、情報を選別でき結果としてパフォーマンスは大きく向上します。

従って、最初にすべきはマーケットの分析ではありません。自己の分析です。

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