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2 自己分析

2.1 投資は才能か?

近年のDNA解析の進展に伴い、作曲や学問やスポーツについては、従来考えられていた以上に生まれついての資質が重要であることが証明されつつあります。これらは遺伝的形質、すなわち親がその分野で優秀であれば子も高い確率でその才を示す能力です。これをここでは先天的な素質を備えている必要があり、また他者と比較した場合に優位性があるという意味で「才能」と定義します。

その一方で、例えばコメディアンとしての能力は、おそらくは親子間で遺伝はしないでしょう。一世を風靡する芸人の子供が同程度の芸人としての能力を備えている例は寡聞にして聞きません。なんらかの要因により一般とは異なる感性を持つに至り、かつその感覚が他者にある種のおかしみを感じさせるものとなった結果が芸人としての適性と理解できます。これをここでは後天的に形成されるものであり他者と比較した場合に特殊性を備えているという意味で「個性」と定義します。

また、料理人や美容師など職人としての能力となると、特定の狭い範囲につき粘り強く繰り返し技能の向上を図る性格的な特徴を備え、かつ、これが美味しい・良いと思う感覚が他者のそれと共通していることが必要でしょう。特殊な性格や高度な一般性を備えているという意味で個性の現れの一つといえます。

「才能」と「個性」とを比較した場合、「個性」が要求される分野においては、一般には人気がなくとも特定の人からは強く受け入れられることがあります。そして、人気があるものが優れ、そうでないものは劣っているわけでもありません。「個性」は本質的に優劣を競うものではなく嗜好の問題です。 それに対し、「才能」の分野においては、厳然たる優劣が存在します。

投資に関心を持つ私たちは、ここである残酷な事実を想起せざるを得なくなります。すなわち、「才能」を要求される分野においては、それを備えていない者の努力や苦闘は全くの徒労に終わる可能性が高いという歴然たる事実です。

以上を前提とすると、投資は才能かというテーゼを考えることは重要な意味を持ちます。多大な金銭と時間を投げ打つ以上、そもそもそのリスクに見合う行為であるのかについて肯定的結論を確信をもって出せない人は、本当に自分はマーケットで成功できるのかという疑心に常に苛まれることになるからです。疑心は努力の停滞と判断の遅延を招きます。そしてこの2つはトレーダーにとって忌むべきものです。 そしてなにより、このテーゼからは投資行動によって利殖をあげるために最も重要と私が考える要素を導くことができます。次節以降では、この核心となる要素の具体的内容について述べていきます。

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