1.4 ORTHRUS STRATEGYの目標設定

ORTHRUS STRATEGYでは、デイトレードを中心とする短期売買によって、数十万の原資から数百~一千万超の年次利益を生み出すことを目的に、その戦略・戦術について詳述しています。この目標を達成するには、中長期投資ではなく、デイトレードを中心とする短期決戦の積み重ねが最も有効であると考えます。その具体的詳細について、2章以下で述べていきます。ここでは、この目的の趣旨について述べておきます。

利益額に幅を持たせた意味

利益は結果にすぎない

まず、数百万~一千万超と利益額に大きな幅をたせた意味について解説します。そもそも「利益」とはなんでしょうか。デイトレードにおける年次の利益とは、ある特別な閃きの結果ではなく、それぞれの相場のコンテキストの中で戦略と戦術を的確に運用し最も賢明な判断を下していくという動的プロセスの積み重ねの結果として存在します。つまり、私がORTHRUS STRATEGYで記述する戦略・戦術を用いて一つ一つのトレードにより獲得できた利益の総体が年間でおよそこの範囲であったということで、最初に定量的に数値目標としたものではありません。

これは利益の本質を考える上で、非常に大切な点です。利益とはプロセスの結果としての現象です。従って、最初に目標額を設定すべきではありません。単純な数値目標額は、害悪に繋がる可能性すらあります。いうまでもなく、マーケットの動きとトレーダー個人の思惑との間に因果はありません。年度により難易度は異なりますし、相性もあります。にもかかわらず定量的な目標数値に引きずられては、畢竟、無理な売買へとつながっていきます。自分のトレードの成功失敗は、単純な損益だけでなく、その戦略スキームの理論的整合性や実行の正確さで図らなくてはなりません。損益に一喜一憂するのではなく、一つ一つの取引を高質なものとすることに意識を集中しましょう。

原資を抑える趣旨

最も確実なリスクヘッジ

次に、原資を数十万に抑える意味について説明します。一つには原資を小さく抑えること自体が大きなリスクヘッジとしての意味をもちます。

板の厚さを考慮しなくてよくなる

そして実際のトレードにおける具体的意義として、ここから一千万超以内の原資の取引に関しては売買の板の厚さを考慮する必要がほとんどないことが大きな意味をもちます。これにより、あらゆるマーケットのあらゆる状況において機動的に売買できます。そのため、利益獲得の機会が、ある特定の状況が発生するか否かという偶発的な事情に依存しなくなります。難易度が大きく下がり、再現性も極めて高くなります。

楽しく自然体で続けられる

原資を制限することは、リスクもカットされますが、同時に複利の効果をその時点で限定することでもあります。これは、人によっては少しつまらないと映るかもしれません。

これは個人の性格によるというか、そのものの問題なのであまり詳述する意味もないのですが、たしかに利益を出金せずに、そのまま運用に回し続ければ時として通常では考えられないペースで利益を獲得できる場合があります。ただし、それと同時に、含み損を抱えた時の恐怖心や含み益を抱えた時の浮遊感も、通常では考えられない感覚になります。こうなると、トレード以外の世のあらゆることが些末なもののように思えてきて、トレードのみならず私生活にまで悪影響がでる場合もあることを個人的な経験として付記しておきます。

一年ごとに出金し、原資を同額で揃えて仕切りなおすことは、毎年の比較にもなりますし、専業トレーダーに欠けがちな季節感を付与してくれます。個人的には、少ない原資をあれこれ工夫し増やしているときが一番楽しかったりします。楽しみながらやることが、実は最も重要なことです。

▷次節:2.1 投資は才能か?

-1 戦略の重要性