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3 利小損大

3.1 基本方針としての利小損大

私が日々のトレードを媒介として掴んだ個性の一つは、自分には利小損大の戦略の方が合っていることでした。そして、これが私のトレード戦略を考える上での出発点となります。

御存知の通り、一般にトレードにおいてはプロスペクト理論を背景として利大損小が良しとされます。不確実性下における意思決定モデルとして広く投資家に知られるこの理論は、端的にいえば人間は損失の発生自体を忌避する傾向が高いことを提示しています。これは、投資においては損失を決定づける損切りが不合理なまでに遅くなってしまう行動として現れます。それ故に、通説としては、損切りは早く利益はなるべく伸ばすべきだという言説となるのですが、実際のトレードを通じた実感として、すぐにこれは自分には向いてないと思うようになりました。

「利大」については、もちろん私も非常に大きな含み益を伸ばし且つ確定させた経験はあります。しかし、その経緯を辿れば、一定の含み益が出ている状況の下でロスカットの逆指値をかなり甘く設定しそのまま就寝した翌日に結果として大きくpipsが伸びていたようなケースや、ストップ高が連続して3日続き4日目の寄付で全て売ったところ始値がその日の天井だったといったような、なかば運を天に任せた場合や例外的事態のケースが多くありました。ザラバでマーケットを注視しつつかつ大きな利幅を取った経験は、それなりに長い投資歴の中でも、正直に申し上げそう多くはありません。

というのも、極端に大きな上昇は、非常に短い時間においてなされることが多く、また例外的なものであるからです。日計り決済が基本であり、長くとも一週間程度で決着がつくことが多いデイトレードにおいては、この動きをリアルタイムで捉え適切な利益確定をすることは合理的な損切りと比較して相対的に困難となります。もちろん空売りやショートでも取引しますが、基本はロングポジションが適切であると考えることからこの結論が導き出されます。この点については、また改めて後述します。

また、「損小」にしても、損失が小さいうちに切ることは損失額の小ささ故にそれほど難しくはないですが、それが何度も繰り返されると非常に大きな心理的負荷を感じます。その積み重なった負の心理的残滓をポジョションサイズの拡大や参入機会の増加という形で払拭したくなる欲求をどうしても解消しがたく、これは自分には向いていないと考えるようになりました。

このことを最初に述べるのは、利小損大が自分のトレード戦略の基本方針であると同時に、一般に教書に通説として書かれており且つ十分な合理性があるものでも、自分の個性・才能やトレードスタイルと逆らうものである場合には、切り捨てることが許されることをお伝えしたいからです。その上で、例外的戦術を取ることから派生的に発生する可能性があるデメリットを取り除く修正を加えればいいのです。3.2 利小損大の本質的意義では、この点をより詳しく解説していきます。

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