""

9 トレンド判断

9.1 トレンド判断の意義

9章以降では、戦略論と戦術論との有機的統合を図ります。この点につき、まず、トレンド判断について考えます。

大切なことは、戦略論としてのトレンド判断と個々の戦術論との関係性です。売買の意思決定の最終段階では、ある特定のチャートの形や値動きの背景をパターンとして認識し、それに相似する状況を実際の値動きから抽出し必要な手順を実行していくという戦術論が問題となります。しかし、これだけでは常に流動変遷する値動きを適切に解釈するには不十分です。例えるなら、最終的に「川」と認識するにせよ、それ以前に「連続して流れる水」としてのアプローチを意識することで、動的なダイナミズムに接近し現象の本質に迫ることができるようになります。価格の流れを細分化し順序立てて丁寧に認識しておくことが、継続性と再現性を持ってデイトレードで利益を上げていくためには極めて大切です。このような意識を持たずにいると、チャートを入念に分析しファンダメンタルにも十分な調査をしているにも関わらず、いざ実際のトレードにおいては現在のチャートがある特定の戦術的局面に当てはまるかを機械的に抜き出すだけの底の浅い売買になってしまいます。前後の流れを読まず、特定のチャートパターンを形だけ認識して反射的に飛びつく売買であってはならないということです。

その一方で、戦略論としてのトレンド判断と個々の戦術論とは、密接な関係があります。トレンド判断の方法は、それぞれのマーケットにおいても、また各銘柄や各通貨においてもそれぞれ特徴があり、時期によっても違いがありますが、最大公約数としての共通項となる要素を含んでいます。つまり、究極的には戦術に行き着くにしても、いわば原則論としてのトレンド判断を判断基準として持っておくことに意味があります。というのも、連続する動的局面の中から確率的に優位性がある特定の局面を切り取った戦術論としてのトレンド判断ができない場合において、ひとまずは上昇基調か下降基調か調整基調かという原則的なトレンド判断の基準があれば、いざ戦術的局面が訪れた際に重ね合わせて考えることができるからです。両者のトレンド判断が一致すれば、それはより強いサインといえますから、より強気なエントリーやポジションサイズを考える余地がでてきます。また、ポジションサイズを調整することでリスクヘッジしていけば特定の戦術的局面が当てはまらない場面においてもポジションを持てるようになり、エントリーの機会を飛躍的に増やすことができます。

ここでは、全ての判断要素はチャートに織り込まれるとするテクニカル理論をメインに論じつつ、各マーケットでのファンダメンタル要素の抽象的判断基準を構築することを目指します。

Copyright© ORTHRUS STRATEGY , 2020 All Rights Reserved.