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8.5 一日を通じた時間要因

年・月・週に関してはアノマリーが中心となりましたが、日に関しては、相場の一日のスケジュールを把握しておくこと、また特殊な動きを示す傾向のある時間帯を事前に知っておくことが目的となります。それぞれの時間帯でどのように売買するかの実際は、戦術論なり他の章で学ぶとして、ここではどの時間帯にどのような動きが起こる可能性があるのかをイメージとして頭の中に入れておくことが重要です。

一義的にはチャートのフローが大事であり、こと細かく意識する必要はありませんが、突発的な値動きが生じる可能性のある時間帯の直前に不用意なポジションを持つことがないよう、重要な節目となる時間だけは確実に覚えておきましょう。

なお、アメリカは夏時間の方が長期間となるため、それを基準に記載します。冬時間適用時は欧米関連のそれぞれの時間に+1時間してください。なお、2019年については、ヨーロッパは10月27日に、アメリカは11月3日に夏時間が終了します。

一日を通じた時間要因

為替

08:00東京証券取引所寄前気配が配信開始。09:00東京証券取引所オープン。09:55仲値。15:00東京証券取引所クローズ。16:00(現地7:00)ロンドン証券取引所オープン。17:30主なイギリス経済指標。21:00(現地8:00)NY pre-market開始、21:30(現地8:30)主なアメリカ経済指標。22:30(現地9:30)ニューヨーク証券取引所オープン。23:00(現地10:00)ニューヨークオプションカット。00:00(現地15:00)ロンドンフィックス 00:30(現地時間15:30)ロンドン証券取引所終了。05:00(現地15:00)シカゴ通貨先物市場終了。05:00(現地16:00)ニューヨーク証券取引所終了、09:00(現地20:00)NYafter hours終了。

以上は、夏時間(米国:3月第2日曜~11月第1日曜)基準です。冬時間は+1時間して考えれば大丈夫です。

よく東京時間・欧州時間・NY時間などといいますが、為替の場合、取引時間に厳密な定義や特定の取引所があるわけではなく、金融機関や株式市場との関係で相対的に取引が活発な時間があるに過ぎません。その株式市場にしても、立会時間外のプレマーケットやアフターマーケットをどうとらえるかなどで取引時間の概念は変わってきます。また、立会時間にしても、例えば日本なら、東京証券取引所とそれ以外の取引所では終了時間が異なります。

ですので、個人的な実質的区分として、アジアが8:00~15:00、中東・ヨーロッパが14:00~01:00、アメリカが21:00~06:00、オセアニアが05:00~08:00といった大雑把なイメージで取引を行っています。ただし、8:00、9:00、16:00、22:30、23:00、0:00の時間はピンポイントで意識します。

重要な指標については正確には個別に発表時間が異なりますので、当日のスケジュールを正確に抑えておきましょう。各FX会社がどこでも配信を行っています。

オセアニア時間について

オセアニア時間は無視されがちな時間帯です。実際、重要性は相対的に低いのは明らかですが、いくつか注意しておいた方がよいこともあります。

月曜日の朝のオセアニア時間は、ニューヨーク時間の午後と重複していないため極端に流動性が低いことに注意する必要があります。流動性が低いということは、極端なボラティリティが生じる可能性があるということです。金曜から週末をまたいでポジションを持つ際には、一応こういうリスクがある点については頭の片隅には入れておいた方がいいでしょう。

また、月曜朝のオセアニア時間は、いわゆる窓埋め戦術を狙う場合には重要な時間となるので、自分の取引する会社の取引可能時間前にレートを確認しましょう。SAXO BANKは03:00からレートパネルが見られます。

もう一つ、東京市場の動向が不透明な場合に、ニューヨーク時間の終わりとオセアニア時間とが重なる04:00から06:00頃にかけて、東京市場オープン前にポジションを整理しようとする動きがでることがあります。たとえば、円高を嫌気した政府・日銀による円売りドル買いの為替介入が行われる可能性が高いと目したマーケットが、それを嫌気してドル円ショートを買い戻してくる場合などがこれに当たります。流動性の低い中、普段は見ないような、短い陽線が淡々と連続的に積み上げられていく直線的なチャートになることが多いです。

市場相互の関係

市場相互の関係として、ある市場のオープン直後には、前の市場のトレンドと逆方向に一旦大きく動き、その後、前の市場のトレンドが再開する動きがよく見られます。これは、前の市場で逆指値が溜まっている価格帯を狙ってロスカットさせることで一旦大きく値を伸ばし、伸びきったところで逆方向のポジションを持とうとする狙いの参加者が多いことから生じます。東京市場は比較的ボラティリティが少ない安定的な相場ですが、アメリカ人のtwitterをみると、「東京時間で自分のロングがロスカットされた後に再度上昇していった。東京時間は意地が悪い」といった内容の書き込みがよくあります。日本人からみると、ロンドン・ニューヨーク時間に対して同じ感想を思うだけに苦笑いしてしまいますが、ある市場のオープン直後には、このような損切りさせようとする動きがあることには注意しておきましょう。

株式

08:00東京市場気配値。08:45先物日中立会開始。09:00東京市場オープン。10:30上海市場オープン。11:30東京市場前場引け。12:30東京市場後場寄付き、上海市場前場引け。14:00上海市場後場寄付き。15:00東京市場大引け。順次IR発表。15:15先物日中立会終了。16:00上海市場大引け。 16:30先物夜間立会開始。17:00PTSナイトセッション開始。22:30ニューヨーク市場寄付き。00:00PTSナイトセッション終了。05:00ニューヨーク市場大引け。05:30先物夜間立会終了。

寄り付き直後

株式においてもっとも重要な時間は、寄付き直後の09:00~09:30です。以前述べたように、株式は本質的価値が観念できるがゆえ、そこから大きく離れた価格をつける機会が為替や暗号資産に比べて少なくなりますが、寄付き直後は溜まったエネルギーの放出により多くの銘柄が何らかのオーバーシュートした動きを見せるので、本質的価値があるゆえに生じる価格の相対的安定性のメリットとボラティリティの大きさからくる利鞘のメリットとの両方を享受できることになるからです。この点についての詳細は戦術論にてまた述べます。また、上昇であれ下落であれ勢いのある銘柄を探しだすためにリサーチする時間としても重要性が高いです。

上海市場

次にポイントとなるのは10:30の上海市場のオープン時間です。上海総合指数の動き次第では、ここから大きくトレンドが転換することもあり、常に相互参照しておくことが重要となります。同じ理由で、14:00以降も転換点となりうることから注意を払いましょう。ただ、動きが変わる程度としては、10:30前後の方が確率が高く、またその力も強力であることがほとんどです。

大引け直前

最後に14:30以降の大引け直前の値動きが重要となります。ここから先の動きは、翌日以降の値動きを考える上でヒントとなります。それに関連して、一気に買われたり売られたりとそれまでの当日のトレンドに逆らうチャートの軌道を描くことも多いので、オーバーナイトするつもりであっても、板とチャートの動きと歩み値とを注視しておく必要があります。

ビットコイン

00:00Bitflyerスワップ発生。04:00~04:10Bitflyerメンテナンス 06:00CME先物立会終了 07:00Bakkt先物立会終了、CME先物立会開始。09:00Bakkt先物立会開始。Bitflyer日足更新。

早朝

ビットコインに関しては、04:00~07:00頃に節目となる時間が集中しています。この時間帯に価格の急騰急落が起こることが多いことは意識しましょう。その他09:00前後から流れが大きく変わることがあります。為替や株式と比べると、ある意味で単純な時間的構造となっており、リズムを掴むのは容易だと思います。

▷次節:8.6 その他長期の時間要因

-8 時間的要因