ビットコイン

12.1 仮想通貨のファンダメンタル分析の概観

12章では暗号資産(仮想通貨)のファンダメンタル分析について述べていきます。なお、ビットコインについての説明が中心となります。

最初に申し上げておくと、暗号資産のファンダメンタル要因に対する完璧な理解は必要ありませんし、特別な学術的・技術的背景がある方以外は不可能に近いと思います。そもそも既存の金融商品においても全ての仕組みを正確に理解している人はこの世にいないでしょうし、まして暗号資産は従来の金融商品とは根本的に異なるテクノロジーに基づく存在であり日進月歩で技術的更新がなされていますから、これを深追いすることはトレーディングとは別の世界の話になります。

ただ、仮想通貨はその歴史が浅いが故に、本質的価値に対する判断が人により大きく分かれます。この価格決定の要因が明確でないという特徴のため、仮想通貨のトレードにおいては、通常はテクニカル分析の有用性が高くなる傾向があります。しかしその一方で、本質的価値が不透明ゆえにファンダメンタル要因に対する過剰ともいえる楽観的あるいは悲観的反応が時として観察されます。これに適切に対処するためには、そのファンダメンタル要因が暗号資産全体の中でどういう位置づけのものであるかを把握しておく必要があります。体系性の中に位置づけることで鼎の軽重を問うことができ、より適切な対応をすることができるからです。そして、計算機科学や暗号理論やソフトウェア工学について学を修めておらずとも、それぞれのファンダメンタル要因がチャートに対して与える影響がどの程度であるかを理解することは十分に可能だと思います。

ただ難しいのは、2019年末現在において巨視的なトレンドが未だ判断しづらいことです。株式の場合は基本的には時間の進行と共に成長していく基本モデルが成り立ちますし、為替においても相対性をその本質とはしつつも一物一価の原則や購買力平価説により均衡という概念は持ち得ます。しかし、仮想通貨においては、今後ビットコインの価格は爆発的な上昇をみせると主張する人もいれば、そう遠くないうちに無価値になると主張する人もおり、百家争鳴な状況です。暗号技術やブロックチェーンに関する深い学識がある方はこういった問題に対する適切な解答を探し出すことによって、長期保有や長期ショートのポジションを構築し莫大な富を得ることが或いはできるのかもしれません。しかし、私は残念ながらそうではありません。繰り返し述べているようにORTHRUS STRATEGYでは、各自の個性・才能に基づくトレードを推奨しています。そして、私にはデイトレードが最も適切なトレーディングスタイルでした。従って、仮想通貨においてもこの方針は崩れることなく、あくまでも利小損大の基本戦略を維持し、その戦略に優位性を与えるためのファンダメンタル分析を行います。

一応付言しておくと、私も資産の約6%と少ない割合ですが、現物にてビットコインとBNBを保有しています。ときおり利益確定をするので、たまに完全なノーポジションになる時期もありますが、基本的には常時保有しております。プラスの収支となってはいますが、これは利益を出すためというより、もし短期間のうちに極端な値上がりをした場合に後悔の念を生まないための必要経費としてのポジションだと考えています。これから述べるファンダメンタル分析はあくまでもデイトレードに生かすための、あるいはその前提となるべき知識についての概説であり、超長期トレードについての分析手法ではないことは重ねて述べておきます。それを踏まえた上で述べるならば、仮想通貨のデイトレードに旨味があることは間違いありません。特に年初めの原資金量が少ない段階においては、国内のBitflyer Lightning FXを基本としつつ、限定された条件のもとで海外ハイレバレッジ取引とを組み合わせることで、かなり効率的に資金を増やすことができます。いずれこのあたりの年間戦略については改めて一章をとり述べる予定です。

仮想通貨のファンダメンタルは、それぞれの仮想通貨の特徴や性質そのものだけでなく、それらが経済活動に与える影響、中央銀行が発行している従来のお金との関係などが問題となります。また技術面においても、基礎となるブロックチェーンに直接関係するものだけでなく、その技術的応用も含まれます。これらは、金融だけでなくシェアリング・エコノミー、IoT,DAOなど広く社会全般に急速な影響を及ぼす可能性があります。

為替や株と違い、どの要素に特に注目すべきかがまだはっきりとせず、時節によって移り変わる部分も多いですが、とりあえず定石と呼ばれるものは一通り押さえておくことで漠然とした不安からくる認知の歪みを避けることができます。ボラティリティの大きいマーケットですので、センスに頼ったトレードは危険です。再現性のある運に頼らない戦略を身に着けましょう。

-12 暗号資産のトレンド発生要因