戦略論ではトレード全体に渡り機能する総合的な観点を記しましたが、それに対して戦術論では、ある特定の判断材料や相場の局面を断片として切り取り、特定の状況下において効果的に運用・解釈することで売買手法へと昇華させる方法を著述します。
マーケットは不完全情報の場であり、また流動的なものである以上、ある売買手法がホーリー・グレイルとして永遠に機能することはありません。しかしながら、その時々において優位性をもつ判断基準の存在をマーケットから感じることは誰しもあると思います。また、そのような手法は時として異なるマーケット間や時間を循環して作用することがあります。何よりも重要なのは戦略ですが、ある場面において優位に働きうる判断基準の典型的解釈を理解しておくことは、マーケットの兆候を先んじて捉える上で有利に働きます。
ただ注意しておくべき点として、特定の判断材料について深く分析することができるようになるとその視点に拘りを持ってしまい、かえって視野が狭くなってしまう場合があるということです。戦術は個々の具体的な相場状況に応じて柔軟に取捨選択していくことが必要です。