4.11 ポジション救済の可能性を高める方法

ポジションの救出可能性を高める方法

トレンドに沿った売買をする

一番簡単に救出可能性を高める方法は、デイトレードであっても日足以上のトレンドに沿ったトレードを行うことです。また、マーケット全体の熱量も考えながら全体指数の方向性と合致する方向で個別の銘柄も検討することです。これによりトレンド回帰によるポジション救済の可能性は相当程度高くなります。

押し目買い、戻り売り

救出可能性の観点から、ロングでは押し目買い、ショートでは戻り売りが理想となります。ただ、この問題を難しくしているのは、巨大なトレンド発生時においては、しばしば押し目が無い状態でひたすらに上がっていくことです。しかし、基本的には利小損大戦略の下、救出可能性が高いポジションを構築すべきですから、価格がレジスタンス付近で活発な動きをみせブレイクアウトして大きく価格が伸びるのではないかと思っても、また実際にブレイクしてそれが単に逆指値を狩っただけでなく新規の買いが入り更に大きく上昇していくように思えたとしても、ポジションを建てることは原則として控えるべきです。

ただ、利小損大戦略の下では、一回のトレードにおける利益の価額よりも利益獲得の期待可能性を重視します。よって、ある一方向への動きが高い確率で期待できる場面であれば、小さい利益確定を狙い柔軟にエントリーしてことがあります。ですから、実際のトレードに際して、あまり極端に理想的な形で押し目買い・戻り売りを捉える必要はありません。具体的にいえば、日足のトレンドがあるからといって日足の押し目まで待つ必要はありません。ただし、少なくともチャートの解釈としては日足でトレンドには日足の押し目を対応させて考えるべきです。

巨大なトレンドが発生した時、みんな儲かっていて自分が取り残されている感覚に襲われることがあります。しかし知っておいて欲しいのは、実は巨大なトレンド時に資産を失いマーケットから退場する人は思いのほか多い事実です。極端なレバレッジで取引したり、感覚が麻痺して高値圏で突っ込み買い、安値圏で突っ込み売りして、大きめの調整が入ったときに資産を大きく減らす人も大勝した人と同じくらい、場合によってはそれ以上います。利小損大戦略では、小さくとも確実に、継続的に多数回にわたり利益を獲得していく姿勢が大切です。

エントリーを分ける

完全条件の売買であっても、大きめのポジションサイズをもつ場合はエントリーを少なくとも二回に分けることは優れたリスクヘッジになります。これにより幾分建値が不利になることが有っても、利小損大の戦略下のもとでは救出可能性は優先度の高い要請ですからやむを得ないと考えます。

なお、不完全条件の場合は、エントリーを分けるだけにとどまらず、最初のエントリーで含み益が出たならそれ以上は追撃せず利益確定することが利小損大の観点から原則となります。そもそも利小損大戦略のもとでは、損切りをいかに適切に実行できるかに焦点がありますから、利益確定については失敗という概念をもつ必要はありません。いかなる利益確定も誤りではなく、正義であり成功と考えるべきです。よって「もっと利益がとれたはずだ」と後悔する必要はなく、まして「本来とれるはずだった利益」を「取り戻す」ことを目的としたトレードをしてはなりません

どんなに入りたくとも最低でも10秒足レベルの押し目を待つ

エントリーは、最低でも10秒足レベルではグランビルの法則に従った押し目買いになるようにすべきです。この際に、10秒足をローソク足でなく平均足で表示させ、自分がポジションをとろうとする方向と逆の陰陽が少なくとも二本確定した段階でとる方法もあります。

それでも敢えてエントリーする場合は不完全条件売買のルールを適用する

もし逆行すれば救出可能性が低くなる可能性があるけれども、それでも入るべきだとする強い直感が働いたなら、場合によってはエントリーも悪くないと思います。利益獲得可能性の拡大は利小損大の戦略思考に沿うものですし、小利でも良いということは危ないと思えば微益あるいは同値で撤退すればいいからです。ただその場合は不完全条件売買としてのルール(参照:7章 不完全条件下での執行)に厳格に従うことです。つまり、完全条件の場合と同じ損切りラインを適用してはなりません。そして本節でも述べたように、どんなに即座に入りたくとも最低でも10秒足レベルの押し目は待つことです。

-4 損切り