為替・株・ビットコインそれぞれの、年間を通じた季節要因について説明します。
一年間を通じた季節要因
1月
為替・株・ビットコイン共に、前年の流れが逆向きに変わるアノマリーが意識されます。為替は、その年の高値か安値をつけやすいとする傾向が意識されます。特にビットコインは中旬に暴落するアノマリーが強く意識されます。
2月
為替は、アメリカ国債の償還利払いが行われ、利払いで支払われたドルを円に換えるべく円高ドル安の圧力がかかります。株式は「節分天井」の相場格言により上旬の高値が意識され、中旬下旬にかけて下落圧力が意識されます。
3月
為替は、月末にかけて円安ドル高圧力があります。日本の株式会社の年度末決算が3月31日締めでなされ、その際のレートが同日の東京市場終値で決せられるところ、輸出企業の為替差益を生み出すために、何らかの介入が行われることが多いからです。株式は「彼岸底」の相場格言により下旬始めの安値が意識され、その後は上昇圧力が意識されます。また、配当や優待の権利取りを目的に月末にかけて上昇圧力が主に中小型銘柄で生じます。
4月
為替は、決算を終え新会計年度を迎えた日本の生命保険会社や年金機構による外債投資の購入が活発化するとが原因となり円安ドル高圧力があります。外国の債券を購入するのに日本円では購入できませんからドルへ換金するわけです。株式はアノマリーにより上昇圧力が強く意識されます。
5月
為替は、引き続き外債投資による円安ドル高圧力があります。株式は、6月のヘッジファンドの半期決算を前に45日ルールにより15日前後まで下落圧力が生じます。また、「sell in may」の諺からダウの下落、その影響を受けて日本株の下落圧力が意識されます。さらに、ゴールデンウィーク前は手仕舞い売りによる下落圧力が意識されます。
6月
為替は、引き続き外債投資による円安ドル高圧力があります。株式は、アノマリーにより上昇圧力が意識されます。
7月
為替は、引き続き外債投資による円安ドル高圧力がありますが、大体このあたりで一段落します。
8月
為替は、アメリカ国債の償還利払いによる円高ドル安の圧力がかかります。株式は、「夏枯れ」の相場格言より下落圧力が強く意識されます。お盆前にも手仕舞い売りによる下落圧力が意識されます。ビットコインは、アノマリーより下落圧力が強く意識されます。
9月
株式は、アノマリーにより引き続き下落圧力が強く意識されます。また、「彼岸底」の相場格言により下旬始めの安値が意識されます。
10月
株式は、アノマリーにより引き続き下落圧力が意識されます。ビットコインは、ここから年末にかけてアノマリーより上昇圧力が意識されます。
11月
株式は12月のヘッジファンドの決算を前に45日ルールにより15日前後まで下落圧力が生じます。その一方、アノマリーにより上昇圧力が強く意識されます。ビットコインは、引き続き上昇圧力が意識されます。
12月
為替は、レパトリエーションによりドル高圧力が生じます。アメリカの株式会社の決算期にあたり、世界中に支社がある会社の場合、当該国の通貨であげた利益をドルに換金して本国に送金するため、ドル買い需要が高まるというものです。株式は、アノマリーにより引き続き上昇圧力が意識されます。その一方、下旬にかけては章税売りによる下落圧力が意識されます。ビットコインは、引き続き上昇圧力が意識されます。
その他
その他 米国株に関しては 独立記念日である7月4日から労働者の日である9月第1月曜日までに株価が上昇しやすいというサマーラリー、5月に売りを推奨するセルインメインに対応し、10月末に買いを推奨するハロウィン効果、12月に上昇しやすいとするサンタクロースラリー、新年度に上昇しやすいとする1月効果などがあります。中国株に関しては、2月上旬に春章、10月1日から一週間が国慶章で大型連休となり、直前は上海市場にて手仕舞い売りが出る場合があります。ダウ平均株価や上海総合指数との連動性がある場合には、日本の株式市場にも大きな影響を与えるので頭には入れておきましょう。
前節の繰り返しとなりますが、これらのアノマリーを売買の動機とすべきではありません。先入観として作用するのなら、認知の歪みを生み害にすらなります。ただ、日足レベル以上で強いトレンドが発生し、且つその方向がアノマリーと一致しているケースでは、その勢いがやや強くなる傾向はあると思います。これは、上記のアノマリーを口実的材料として、投機筋が仕掛け的な動きを見せる場合があるからだと考えられます。
例外的に格別の注意を払うべきものとして、1月に前年度のトレンドが転換する場合がしばしば観察されることです。そのトレンド転換が継続し、1月の価格が年間を通した高値か安値になるというのは、特に為替においてはよく生じます。株式にしても、日経平均の史上最高値は1989年の12月につけ、年明けの1990年1月に急落しています。1月月足の高値・安値はレジスタンス・サポートとしても強く機能するので、意識しておくことが大切です。
▷次節:8.3 一ヶ月を通じた時間要因